アルコール科病棟への食品持ち込みチェックは厳しかった
病院の食事とは物寂しいものだ。
栄養士さんが患者さんの状態と予算と季節に合わせてはげあがるほど悩んでメニューを考えてくれているのは重々承知だし、そもそも所詮病院食とあきらめればよいのだが、それでも物寂しいったら物寂しい。
売店もあるが、大手コンビニが入っているわけではないので、やはり品ぞろえが物寂しい。
そうなると、人に差し入れを頼んだり、外泊時に買い込んだものを持ち込んだりして、少しでも入院生活の食卓に花を添えたくなるのが人情というものである。
が、ここはアルコール科病棟、持ち込みに当たっては厳しい掟がある。
ひとおつ。酒精の入っているものはダメ、絶対!
ふたあつ。つまみっぽいものもダメ! なぜなら酒を連想させるから!
みっつ! 冷蔵庫に入れなきゃいけないものはダメ! だってこの病棟には冷蔵庫がないから! (他の病棟にはあるらしいが)
よっつ! においの強いものはダメ! なぜならここは病院だから! ほかの患者さんにご配慮ください! (そりゃそーだ)
というわけで、見舞客におかれましては差し入れを、患者におかれましては外出・外泊先から持ち帰ってきた荷物全てを看護師さんが厳密に改め、掟に反しているものはボッシュートの憂き目にあうのだ。
自分はこの掟をあまり重く受け止めていなかったもんだから、初回外泊で浮かれ気分で購入して持ち込んだものはばんばんボッシュートされた。もーばんばん。
中で一番びっくりしたのが、こんにゃく畑である。
子どものおやつにするこんにゃく畑に何が? と思ったら、洋酒が入っておった。
他、みりんの使ってある焼き鳥・レバの缶詰。煮切ってあるだろうとは思うが、やはり原料として書いてある以上ご禁制。
チータラ。その前に差し入れでいただいていたときは通ったので大丈夫かと思ったら「このようなお酒を連想させるような商品はちょっと…」
鮭かわチップスに至っては笑うしかない。
なぜ買ったし。
ローソン100で買った「あの菅原文太が愛したキムチ」も匂いの点でボッシュート。
しかし一番の伏兵は、ちょっと前まで売店にあった森永焼きプリンがボッシュートの憂き目にあったことだった。
いや、これちょっと前に売店にありましたよね?
でも原材料表示に「洋酒」ってあるからダメー。
なお、没収された食料品のうち冷蔵品は記録室の冷蔵庫で保管、次回外出時に返却してくれる。常温保存可能な商品は退院時にまとめて返却してくれる。決して廃棄されるわけではないのでご安心を。
いかにも洋酒に満ち満ちていそうなサヴァランやパウンドケーキはともかくとして、よもやお子様のおやつにまでご禁制の品が入っているとは思わなんだ。
皆様のご参考になれば幸いである。