アルコール科入院時の持ち物の最適解を考える 第五回 その他雑品
入院決定時に渡される「〇〇病棟へ入院される皆様へ」なる書類には「持参していただくもの」として、
その他:ティッシュペーパー・イヤホン・筆記用具(ノート、ペン)・小遣い(必要最低限)・保険証・入院申込書(あらかじめ記入し、当日医事課職員へお渡しください)
とある。
「アルコール科入院時の持ち物の最適解を考える」シリーズ第五回では、これらその他の中でもこまごまとした雑品にかかる物品の最適解について検討したい。
ティッシュペーパー
フェイスタオルでも洗面所においてあるペーパータオルでも賄いきれない諸々に大活躍する必需品。鼻をかんだり食べこぼしをぬぐったりその活用場面は多岐にわたる。箱ティッシュをひと箱持ち込んで自室か食堂の食卓に置いている人が大半であった。箱なしのコンパクトタイプを持ち込む方もおられた。嵩が減って良いようだがそのあたりのこだわりはよくわからん。
イヤホン
床頭台に備え付けられている個人用のテレビを視聴する場合なくてはならない。逆に自分はテレビは一切見ないし音楽プレイヤーも持ち込まないという人は持参する必要はない。
なお、テレビも見ないし音楽プレイヤーも持ち込まないが騒音に弱い人はノイズキャンセラーとして活用可能。ホワイトノイズ系のアプリをスマホに入れておけばかなりさいきょうだ!
筆記用具(ノート、ペン)
別建てで解説するであろう「アルコール依存症リハビリテーションプログラム」にはアルコール依存症という疾患を様々な観点から理解するための勉強会や講義が含まれている。アルコール勉強会とたばこの講義では資料は配布されないので熱意がある場合持参のノートにメモを取って備忘することになる。認知行動療法では「アルコール依存症の集団治療プログラム」というテキストに沿って治療を進めていくことになるが、こちらは夏休みのドリル並に記入箇所が多く場合によっては看護師の書き直し指導も入る。これらの条件からすると必要とされるのはシャープペンシルと消しゴム、他諸々の書類記入用にボールペンがあるとよいだろう。なお、病棟に鉛筆削りはあるが、削りかすを誰が捨てるか問題などがめんどいのでよほどのこだわりがない限り鉛筆は避けたいものだ。
小遣い
9週間の入院生活における必要最低限の小遣いとは一体いかほどを用意するものなのだろうか。実際の入院生活で金を使う場面を考えてみると
洗濯 コインランドリー一回100円 乾燥機1回100円
売店 200円くらいまでの菓子類 給食にご不満ならカップ麺弁当など200円から500円くらい
飲み物として院内のペットボトル 一本150円くらい
となるわけで、そんな使うかなぁ? というのが正直なところだが、実は伏兵が二つある。
テレビカード 一枚千円。自分は使ったことがないのでよくわからないが、諸先輩方の言によると視聴時間があまり長くないらしい。検索したところ一般的には一円一分換算、そうすると千分は見れるはずなのだが…。なお皆さん正確に計測していないので申し立ての精度は不明である。テレビが好き且つ諸々の意欲に乏しい方は用事がない限り部屋にこもりひたすらテレビを見るという非生産も極まれりという生活を送られることも多く、結果テレビカード破産して小遣いを近親者に無心する御仁も少なくはなかった。ご利用は計画的にね☆
煙草 「仮にも病院なのだから禁煙じゃないの? 煙草の講義では煙草の害悪をこれでもかと刷り込んでるし病院も治療に積極的でしょ? なのに喫煙認められてるの? 」と疑念を抱いたアナタは大変正しい。一般論としては病院で煙草などとんでもないしアルコール依存症と煙草依存症は同時に治療したほうが効果が高いようなので病院側としても両輪として進めていきたいのは山々だろう。が、「酒を我慢している人間に煙草まで禁止するとは鬼か! 大体ここにはアルコール依存症治療のために入ってきたんであって禁煙治療まで頼んでねぇぞ! 」と、医学的効率性を絶滅せしむる被害妄想的な謎理論を振りかざす連中でもいたのか、彼らの活躍の成果で、病院敷地内では禁煙だが敷地外では喫煙可という頓智の効いた状況が実現している。こうなると問題は煙草の入手元だが、見舞いの人に差し入れてもらう(刑務所か! )のはまだ合法のうち、重度の愛煙家の方々に置かれましては病院近所のタバコ屋に…おっと誰か来たようだ。
なお、喫煙の際は、「敷地外での喫煙時」の都度看護師さんに申告して喫煙具一式を受け取り「密やかに」喫煙、それ以外の際はナースステーションに預けておく決まりである。いちいち申告するのを面倒がって隠し持ち且つそれが発覚した場合は下手をすると非喫煙者含む病棟入院患者全員の荷物検査という誠に以て刑務所めいた事態に至るので、お目こぼしされている愛煙家におかれましては何卒決まりを守っての運用をお願いしたい。
ともかく、テレビカードと煙草は浪費につながる。テレビが好きな愛煙家であれば小遣いは数万円は必要になるだろう。
なお、諸事情によりスマホ携帯の所持がない方の場合はこれに加え通信代としてテレホンカードまたは切手代がかかることとなるが精神科で入っている人やネット依存で入っている人でない限りきわめてレアなので割愛御免。
保険証・印鑑
印鑑は百円ショップの三文判でも問題ない。様々な書類への押印に使う。ない場合は拇印代用も可。
入院申込書。
後述する。
以上、「アルコール科入院時の持ち物の最適解を考える 第五回 その他雑品」であった。